研究課題
本研究では、全固体Na-空気電池の開発に向けた材料レベルでの検討を行った。典型的なナトリウムイオン伝導性固体電解質であるNa3Zr2Si2PO12(NASICON)は、ナトリウム金属に対して化学的に安定であり、負極として使用可能であるが、固体電解質に粒界が多く存在すると、充放電中に粒界で金属が析出し、電圧が不安定になることが分かった。NASICONの合成方法を検討した結果、固相法では緻密度が不十分である一方、ゾルゲル法により作製すると十分な緻密度が得られ、充放電中の電位も安定した。実際に白金正極で全固体Na-空気電池を作製すると、放電できることが分かった。一方で、正極については、典型的な燃料電池正極であり、酸化還元触媒機能と高い導電性を持つペロブスカイト型酸化物La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3とNASICONの固体電解質との反応性を検討した。混合した粉末を焼成したところ、800℃でXRDパターンから位相が確認され、両者が反応することが分かった。700℃以下では電解質と正極の焼き付け温度としては不十分で、十分な接合が難しいと考えられることから、さらに界面形成について、材料レベルでの検討を行った。まずはNASICON型結晶構造を有するNa3V2(PO4)3を例にとり、Naイオン電池としての動作を検証した。Na3V2(PO4)3は、バナジウムの多段レドックスにより3価→2価(負極)、3価→4価(正極)の電極動作が可能で、電子伝導性も低いことから固体電解質としての機能も果たすことが分かった。単一組成の材料で、正極、負極、電解質の3役をこなすことで、極めて良好な電極電解質界面が形成され、界面抵抗値がほぼゼロになることが確認できた。このことから、全固体の空気電池としても、材料間の組成を極力近づけ、相互拡散による影響を低減する必要があることが分かった。
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Advanced Materials Interfaces
巻: 4 ページ: 1600942-1600946
10.1002/admi.201600942
http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K005078/index.html
http://www.cm.kyushu-u.ac.jp/dv07/dv07j.html