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2015 年度 実施状況報告書

オペランドX線顕微分光による電気化学発光セルのイオンダイナミクスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K17926
研究機関大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構

研究代表者

武市 泰男  大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (40636461)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード電気化学発光セル / X線顕微鏡 / 発光デバイス / X線分光
研究実績の概要

平成27年度は、X線顕微分光法による電気化学発光セル (LEC) のオペランド観察に必要な試料環境の構築を行い、動作中の LEC 内部の発光ポリマー・正負イオン分布像のファーストデータを得ることを目標に研究を進めた。
まず、動作中のLECを走査型透過X線顕微鏡 (STXM) で観察するための試料ホルダの開発を行った。LECは窒化シリコン薄膜上に作成し、電圧を印加して実際に発光することを確認した。この試料をSTXMで観察し、X線透過像や炭素K端やフッ素K端での局所吸収スペクトルの測定に成功した。さらに、LECを動作させて同様の観察を行った結果、LECへの印加電圧によってイオン分布の変化と思われる透過強度分布変化が観察され、イオン分布像のファーストデータを得ることに成功した。続いて、印加電圧とイオン分布との対応関係を調べたところ、電圧方向や印加履歴によって異なる挙動が確認された。この現象を説明するには、現在調べているLECの発光特性、特に発光が始まる初期の発光挙動を詳細に調べることが必要と考えた。STXMの検出器技術を応用すればLECの極微弱発光を検出することができることに着目し、発光初期のLECの動作特性を測定するための装置の開発を行った。この装置を用いて複数のLECを測定した結果、電圧方向や印加履歴などによって発光や電流の挙動が異なることが確かめられた。このことは、これまで考えられていたLECの動作原理を見直す必要があることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

X線顕微分光法による電気化学発光セル (LEC) のオペランド観察に必要な試料環境の構築、および動作中のLEC内部の発光ポリマー・正負イオン分布像のファーストデータを得るという平成27年度の当初目標を達成した。さらに平成28年度の予定であった印加電圧とイオン分布の関係を調べる研究も部分的に遂行し、現段階までで観察された挙動を説明するための新たな装置開発と実験も遂行できた。

今後の研究の推進方策

当初予定通り、電気化学発光セル (LEC) の印加電圧とイオン分布の関係を調べる実験を継続する。また、当初予定に加えて行った発光初期のLECの動作特性の測定も併せて進め、イオン分布と発光初期過程の動作特性の両面からLECの動作原理解明を進める。

次年度使用額が生じた理由

オペランド計測に必要な試料ホルダの開発について、まず、当初計画されたものに比べ安価で簡易なホルダでテストを行った。このホルダは正しく動作することが確かめられ、現在も継続して使用している。

次年度使用額の使用計画

上記の簡易ホルダは平成27年度中継続して使用できたが、同時に耐久性に難があることもわかってきた。そのため、当初計画通りのものを平成28年度に製作する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Micro- and nano-scale spectromicroscopy at the Photon Factory2015

    • 著者名/発表者名
      Yasuo Takeichi
    • 学会等名
      16th International Conference on X-ray Absorption Fine Structure
    • 発表場所
      カールスルーエ(ドイツ)
    • 年月日
      2015-08-23 – 2015-08-28
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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