本研究では,海綿骨を構成する骨梁の力学的特性とマイクロ・ナノ構造特性を明らかにするため,骨梁単体の力学的特性計測法として片持梁曲げによるMicro-cantilever Bendingを提案した。本手法によりウシ大腿骨骨梁の弾性率を計測し,皮質骨の骨軸方向弾性率に比べて低いことを示した。また,骨梁断面の光学顕微鏡観察の結果,弾性率とマイクロ構造の明確な対応は得られなかった。X線回折法を用いて骨梁内のハイドロキシアパタイト結晶の配向性を計測した結果,結晶c軸が骨梁長軸方向に配向する傾向を示した。骨梁と皮質骨を含めた骨組織全体では,弾性率と結晶配向性に有意な相関関係が認められた。
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