研究課題/領域番号 |
15K17933
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
関口 悠 東京工業大学, 精密工学研究所, 助教 (00712423)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 凝着現象 / 生体模倣 / 接合強度 / 接着界面 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,ヤモリの指先に見られる微細毛構造の特徴を理解し,メカニズムを明らかにすることで,対象物に自在に着脱できる凝着接合型の把持・脱離デバイスを作り出すことである.ヤモリの指先構造には複数の優れた機能が付与されており,自然界において移動に優れた道具を進化の過程で獲得した.このように生物の進化の過程で習得された優れた性能を模倣するバイオミメティクスは,工学のデザインにおいて非常に重要となっている.本研究では,ヤモリ指先が有する機能の一部に着目し,それらの機能に重要となる構造を理解することで,目的とした性能の会得を目指す.具体的には,ヤモリの複雑な微細毛構造のうち,強力な把持と容易な脱離を実現させている構造の特徴を抽出し,デバイスの作製を行う.実際のヤモリ指先構造のような複雑で微細な形状は実現可能性が低いため,まず把持・脱離に寄与の大きい形状を特定し,シンプルな形状で必要十分な機能を有する構造を検討することが重要となる.27年度は,傾斜構造及び先端形状が把持・脱離へ及ぼす影響を解明するために,デバイスの作製手法の確立を行い,更に凝着力の評価実験を行った.デバイス表面へ傾斜構造を作成するために,形状転写用金型の作製手法の検討を行い,性能を実現させるための形状特徴を実現させる金型の作製に成功した.それにより,デバイスの凝着性能に方向依存性を付与することができるようになり,凝着力評価試験で性能を明らかにした.また,非対称な着脱を利用した物体のマニピュレーションが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において,作製手法が確立できたため,今後計画通りデバイスの作製及び評価実験が遂行できると考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き,試作したデバイスの評価を行うとともに,評価結果を元に把持・脱離に適した形状の最適化を図る.また,表面粗さを有する対象物への評価実験を行い,課題の解決へ向けた形状の改良を行う方針である.
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