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2015 年度 実施状況報告書

高抵抗材料を用いたナノ放電加工の実現に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K17949
研究機関金沢大学

研究代表者

小谷野 智広  金沢大学, 機械工学系, 助教 (20707591)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード放電加工 / ナノ放電加工 / 微細加工 / 高抵抗材料 / シリコン / 微細軸 / 放電痕
研究実績の概要

本研究では,放電加工の微細化の限界を更新し,これまで不可能であったナノ放電加工(加工寸法:数百nm)を実現することを目的とする.放電加工は微細加工のための有力な加工法であるが,従来の技術で加工可能な最小寸法は1μm程度であった.これは,浮遊容量から供給される電流が単位加工量である放電痕の微小化に限界をもたらすためである.そこで本研究では,電極材料として高抵抗材料を用い,浮遊容量から流れる電流を極限まで低減することで放電痕の微小化を試みた.まず,高抵抗材料を電極に用いた場合の放電回路の等価回路解析を行い,高抵抗材料が放電エネルギーの減少に与える効果を理論的に検討した.その結果,電極の抵抗値が増加するほど,放電電流のピーク値が減少し,放電エネルギーも減少することがわかった.そこで,実際に電極として高抵抗材料であるシリコンを用いて放電加工を行い,放電電流を測定した結果,解析結果と同様に電流ピーク値が減少し,放電エネルギーも減少することがわかった.また,放電痕径を測定した結果,高抵抗材料の抵抗率が大きくなるほど放電痕径が小さくなるという結果が得られた.これは,放電エネルギーが減少することに加え,電流のピーク値が小さくなったことで,アーク柱から工作物へ流入する熱流束が減少したためと考えられる.また,シリコンを工具電極としてステンレス鋼に加工を行った結果,放電痕が微小なため,従来のタングステンを電極として用いた場合よりも良好な加工面粗さが得られた.さらに,シリコンを工具電極として超硬材料の微細軸加工を行った結果,直径0.7μmの微細軸の加工に成功した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高抵抗材料である単結晶シリコンを用い,抵抗率を大きくすることで放電痕径を小さくできることを実証した.一方で,これまではn型の半導体シリコンを用いていたが,半導体キャリアの違いが放電電流にどう影響するのかは明らかにできておらず,この検討が必要である.等価回路解析による理論的な検討は目標通りに行えている.また,次年度に実施を予定していた微細軸の加工にも既に着手することができ,直径0.7μmの微細軸を加工することに成功した.しかし,目標としている0.5μm以下の微細軸加工は未だに行えていない.

今後の研究の推進方策

目標としている0.5μm以下の微細軸加工の実現のため,更に抵抗率の大きいシリコンを電極として用い,放電痕の微小化を図る.また,半導体キャリアの違いが放電電流に与える影響を調査し,放電痕の微小化に最適なシリコンの種類を明らかにする.さらに,低電圧の交流高周波電源を用いることによっても放電エネルギーを微小化し,高抵抗材料と合わせて用いることで,さらなる放電痕の微小化を図る.これらの方法により直径0.5μm以下の微細軸加工の実現し,製作した微細軸を工具電極として用いることで,直径1μm以下の穴加工の実現を目指す.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Miniaturization of micro EDM using high electric resistance electrode2015

    • 著者名/発表者名
      Yuki Sugata, Tomohiro Koyano, Akira Hosokawa, Tatsuaki Furumoto
    • 学会等名
      The 8th International Conference on Leading Edge Manufacturing in 21st Century (LEM21)
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-10-20
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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