現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[繊維束構造のユニットセル抽出] 繊維束構造のCT画像はコントラストが低くノイズも多い。縦糸の繊維束と横糸の繊維束が交差する箇所では繊維束が密になるためCT画像のコントラストがとりわけ低く、実用化のためには高精度な境界検出が必要である。既存の手法のようにCT値を用いて繊維束を識別するのは困難であるため、CT値の変化に鋭敏なCT値の勾配ノルムを用いて繊維束の境界を検出する手法を提案した。本手法ではコントラストが低い箇所でも配向の計算に成功しており、欠陥検出に役立つと考えられる。また、設計および欠陥検出において重要な織りパタンであるユニットセルと呼ばれる構造をCT値の微分量を用いて近似することにも成功している。織物構造を有する素材を用いた製品の研究開発を行う企業の研究員による評価では、提案手法は十分な精度と品質を有する抽出・近似ができるとのことであった。
[発泡金属] 発泡金属のCT画像にはメタルアーチファクトや線質硬化などのアーチファクトが含まれており、微細な形状の抽出に影響を及ぼす恐れがあるため、CT画像を構成する一段階前のデータであるサイノグラム(X 線の透過画像列)を利用することを考える。サイノグラムからシミュレーション用の四面体メッシュを生成する先行研究である[Yamanaka et al, The Sinogram Polygonizer for Reconstructing 3D Shapes, Transactions on Visualization and Computer Graphics, 19(11), pp. 1911-1922, 2013]を複数マテリアルからなる素材に対応するよう拡張した。
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