近年、プラスチックフィルムのようなフレキシブル素材に印刷技術を用いて半導体、電池、センサなどを創成するプリンティッド・エレクトロニクス技術(PE技術)と上記製品を大量に製造するためのウェブハンドリング技術(ロール・ツー・ロール方式とも言う)を融合させたロール・ツー・ロール PE技術の開発が期待されている。しかし、本技術の確立には高精度印刷が要求されるため従来よりも一層高度なフィルムの搬送精度が必要となる。そこで本研究では、画像認識技術を応用して搬送中のフィルムの蛇行運動や折れしわ、スリップなどの不具合を観測し、それらを防止することが可能なシステムの構築について検討した。さらに、インクジェット装置を用いてフィルム上に機能性インクを印字してフレキシブルデバイスを作製することについても検討した。 二値化を用いた画像認識によりフィルム上に生じるトラフの向きを判断し、それを基にローラ間のミスアライメントを自動的に修正するシステムを構築した。本システムを用いることでフィルム上のトラフを即座に解消することが実験的に確認され、さらには折れしわ防止につながることも確認された。また、インクジェット装置を用いたフレキシブルデバイスセンサの開発を実施した。静止状態においては、表面処理をしたフィルム上では配線、保護もきれいに印字することができ、最終的には簡易的な圧力センサを作製することができた。これらの結果は、ウェブハンドリング技術の高度化に寄与するとともにロール・ツー・ロール PE技術の開発にも有効である。
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