本研究は、冬季の災害において毎年頻発している着雪氷による災害の防止技術として期待される超音波振動を利用した超滑水性CNT複合シートを開発し、滑水性におけるCNT複合シートへの超音波振動の効果を明らかにし、超音波振動影響下でのCNT複合シートの雪の滑り落とし性能を検証することを目的としている。 本年度は、本研究目的を達成するために平成27年度までに滑水性の向上が確認された低周波振動条件下において、雪とCNT複合シートの滑雪性を解明するための実験を恒温室内において-4.0~-1.0[℃]の低温環境のもと実施した。屋根などに積雪した界面付近の雪を想定し、ざらめ雪を対象とし実験を行った。実験では、雪の形状による影響をできるだけ減らすために雪粒の大きさをそろえた。滑雪性を比較すると、CNT含有により滑雪性の向上が見られ、また振動の振幅と振動数の増加により滑雪性の向上も見られた。これは滑水性の傾向と同一の傾向が見られた。20kHz以上の超音波振動条件下においても今年度滑水性の向上を確認することができ、滑雪性の向上も期待できる。さらに振動加振の影響を与えられた振動エネルギーと運動エネルギーの観点から考察することで、滑水性および滑雪性の向上について定性的な説明もできた。 以上の実験および考察により得られた研究成果の一部を平成28年9月に福岡で開催された日本機械学会2016年度年次大会および日本機械学会北陸信越支部第54期総会・講演会にて講演発表し公表した。
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