水素含有DLC膜へのボロン添加により導電性を付与し、摺動界面でトライボプラズマを発生させることで、摩耗粉の構造制御ならびに潤滑効果の向上を目指した。試作の結果、膜中へのボロン添加による導電性の制御に成功したが、耐摩耗性が劣化してしまった。そこで、「ボロン添加水素含有DLC膜」に代わる新規DLC膜として、膜中に塩素を含む「塩素含有DLC膜」の開発に取り組んだ。その結果、塩素含有DLC膜はアルミニウム合金との摩擦において、従来の水素含有DLCよりも低摩擦かつ高耐摩耗性を示した。この特性向上は、摺動界面での摩擦により形成された塩素系トライボフィルム(摩擦反応膜)による効果であることを明らかとした。
|