本研究では分子動力学を用いて微細流路内に生じた液滴が運動する際に生じる固体壁面との間の摩擦力を評価した。最初にせん断応力の温度上昇を考慮したせん断応力モデルを作成し、分子動力学法を用いた計算と比較することで妥当性を評価した。さらに接触線近傍に働く摩擦力の流路幅依存性を評価した。これにより、流路幅や固体壁面との相互作用により粘性が変化するといった現象は見られなかったが、微細流路内部を運動する液滴の温度上昇を予測することが可能になった。また、詳細がわかっていなかった接触線近傍に働く摩擦力の流路幅依存性が明らかにし、ナノスケールにおける液滴の運動を評価する指標を得ることができた。
|