風車群上乱流の解析に関係して,まず昨年度において独創性がみられた粘性項発散の影響について,進展が見られた.この中で粘性項発散は,乱れの異方性に影響を及ぼし,その大きさは意外なことに無視できない大きさとなることが示された.この異方性への粘性項発散の影響を調べるに当たり,新しい解析解群を導いた.これは従来知られている周期的解析解にもとづくもので,異方性を任意に設定できる点に独創性がある.加えて,2000年代初頭の研究に着目し,外力項を用いて定常化された流れの解析解もまた,導かれた.風車群上乱流の解析に関係して,SGS成分を用いた数値解析についても行った.解析を進める中で,SGS成分を用いることで,差分法適用において低下する空間分解能を補償できることが明らかになった.この解析は,新たに導かれた定常厳密解を用いることで,厳密に調べられた.加えて,風車群上乱流に関係して,層外乱れに及ぼす圧力勾配の影響についても進展が見られた.昨年度得られた近似解を考察することで,圧力勾配の主流方向変化の影響についてもまた解明され,加えてその影響もまた近似解として得られた.これらの結果に基づき,風車群上乱流の解析が行われており,興味深い知見が得られていると見受けられるが,今後はこれらの知見を踏まえてさらに研究を展開していく必要が認められる.特に,当該研究は数値解析でもって実施されており,風洞実験の観点からも今後は研究を行う必要が認められる.
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