回転乱流において系の角速度を変化させたとき、慣性波乱流、3次元的な渦乱流、大規模渦柱が共存する準2次元的で異方性の高い流れ場と、統計的に等方な3次元的流れ場の間で、相異なる角速度で遷移が生じるというヒステリシス現象を見出した。また、安定成層した背景場中の成層乱流では、異方性、波動の卓越性、弱乱流の成立が線形の内部重力波の時間スケールと渦の非線形時間スケールとの比較により説明できた。また、回転乱流と成層乱流のいずれの系でも、低波数域での粘性散逸を無視できないことがわかった。このことは、異種乱流の共存状態の形成・維持機構において、粘性散逸が重要な役割を果たすことを示唆する。
|