研究実績の概要 |
不均一性のない滑らかな固体壁面上における動的濡れについて、チャネル内二相流の(1)Navier-Stokes-Canh-Hilliard(NS-CH)方程式系による解析および(2)分子動力学法による解析により、詳細に調べた。(1)界面形状を円弧近似することにより接触角を求めるということが実験ではよく行われるが、本研究では、そのように求められた見かけの動的接触角は壁面直上で定義された局所の動的接触角とは全く異なる物理量であることを示した。本研究においては、接触線近傍での固液間の滑り長さと接触角の計測に関わる長さスケールの関係に特段の注意を払い、曖昧さの残らない議論を展開している点が重要であり、Physics of Fluids誌に掲載された論文はEditor’s pickに選出されている。(2)分子動力学解析で予測された局所動的接触角の振る舞いは、驚くべきことに古典的なBlake則 [T. Blake and J. Haynes, “Kinetics of liquid/liquid displacement,” J. Colloid Interface Sci. 30, 421--423 (1969)] に従い、またNS-CH方程式系によっても説明できることがわかった。分子動力学解析による結果と連続体解析(NS-CH方程式系による解析)結果の比較においては、熱揺らぎの解釈が重要であるとの結論も得られた。
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