高性能ナノ構造化バルク熱電材料の創製に向けて,本研究では材料内部と界面におけるフォノン輸送スペクトルを計算する手法を開発し,熱伝導に寄与するフォノンを効果的に抑制する構造制御の指針を得た.また,フォノンの粒子性に加えて波動性を利用した熱伝導抑制では,ナノ構造界面によるフォノンの干渉と共鳴が界面熱抵抗に与える影響を分子シミュレーションによって評価し,さらなる熱伝導抑制に向けたストラテジを得た.さらに,フォノン波動性で重要となるフォノンの可干渉(コヒーレンス)性を分子動力学法によって計算し,平均自由行程と同様にコヒーレンス長は周波数に強く依存し,1-100nmの幅広い値を有することを明らかにした.
|