研究課題/領域番号 |
15K17985
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
櫻井 篤 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20529614)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 波長選択性ふく射制御 / メタマテリアル / サーモプラズモニクス / 太陽エネルギー / 熱光起電力発電 |
研究実績の概要 |
次世代の高度太陽エネルギー利用方法の一つとして期待される太陽熱光起電力(Solar-TPV)発電の研究を行っている.本研究で作製する波長選択性エミッターは, 光電変換セルの外部量子効率が最も高い領域に整合するような狭帯域熱ふく射光を発現させるものである.そこで我々は,ふく射特性を自由自在に制御することが可能なメタマテリアルに着目している.さらに開発したエミッターを搭載することで,大型太陽集光シミュレーターを用いた高効率なSolar-TPV発電システムを実証する. 本研究課題の開始段階では,メタマテリアルに関する理論に基づき,上記のような特性を持つ波長選択性エミッターを実現できることを数値解析により見出していた.これまでに理論並びに数値解析に基づいてメタリアル構造の設計を行い,実際にエミッターを作製することを目的として研究を進めた.作製には電子線リソグラフィ,スパッタリング,反応性イオンエッチングといった半導体プロセスを活用した.今年度は耐熱性を高めるためエミッター上層に誘電体コーティングを施すように改良した.この作製したエミッターの光学特性を測定し,Solar-TPV用のエミッターとしてほぼ設計通りの性能を得ることに成功した. 続いて,このエミッターを真空容器内で電気加熱し,PVセルで発電が可能かどうかを検討するための実験装置を製作した.現在までの予備実験では黒体表面を真空下で加熱することでPVセルから光起電力を得られることを確認した.今後は作製したエミッターを用いて発電実験を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り,本研究で作製する波長選択性エミッターは, 光電変換セルの外部量子効率が最も高い領域に整合するような狭帯域熱ふく射光を発現させるものである.これまでに理論並びに数値解析に基づいてメタリアル構造の設計を行い,実際にエミッターを作製することを目的として研究を進めた.作製には電子線リソグラフィ,スパッタリング,反応性イオンエッチングといった半導体プロセスを活用した.高温用エミッターとして材料にはタングステンおよびシリカを採用しており,当初の想定通り,作製が順調に進んだ.また作製したエミッターの光学特性を測定し,Solar-TPV用のエミッターとしてほぼ設計通りの性能を得ることに成功している.さらに,このSolar-TPV用エミッターを真空容器内で電気加熱し,PVセルで発電が可能かどうかを検討するための実験装置を製作した.現在の予備実験では黒体表面を真空下で加熱することでPVセルから光起電力を得られることを確認した.今後は作製した波長選択的エミッターを用いて発電実験を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
高温用エミッターとして使用するために誘電体層でエミッター上層部を覆うことが効果的であることが明らかになったことから,耐熱試験を引き続き行いつつ高温用エミッターの性能向上を図る.また,このSolar-TPV用エミッターを真空容器内で電気加熱し,PVセルで発電が可能かどうかを検討するための実験装置を製作したので,この装置での予備実験を速やかに完了し,実際に高温用波長選択エミッターによるPVセルの発電量計測および温度計測を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
Solar-TPV用のエミッターとしてほぼ設計通りの性能を得ることに成功しており,さらに,このSolar-TPV用エミッターを真空容器内で電気加熱し,PVセルで発電が可能かどうかを検討するための実験装置を製作した.この実験装置については,新潟大学付属の機械工場にて想定よりも安価に製作が可能であったため.
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次年度使用額の使用計画 |
高温エミッターの性能向上を目指したサンプル製作費用にあてたい.またその特性を簡易的に計測するための実験装置の費用,真空実験装置の改良費用として使用する計画である.
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