本研究では沸騰熱伝達において高密度な熱流束を実現する作動流体として期待されている自己浸濡性流体(温度上昇に伴い表面張力が上昇する流体)において,この性質が発現する分子レベルの機構を明らかにすることを目的として研究した.典型的な自己浸濡性流体である1-ブタノール水溶液に注目し,全原子分子動力学シミュレーションにより,理想的な気液平衡状態を再現した.水溶液濃度が一定の条件で温度を変化させながら,表面張力や表面過剰を測定するともに気液界面に存在する1-ブタノール分子の描像を解明し,両者の関係を考察した.
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