研究課題/領域番号 |
15K17991
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松木 亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 安全科学研究部門, 研究員 (90634668)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高温化学反応 / 燃焼反応 / 衝撃波管 / 広帯域キャビティ増幅吸収分光法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、衝撃波で生成した高温場において、反応中間体を高感度で検出し、高温化学反応の速度論的研究を行うための新規手法を開発するとともに、開発した手法を用いて不飽和炭化水素ラジカル等、紫外可視域に吸収を持つ活性種の高温反応を追跡することを目的としている。平成27年度は、衝撃波管/時間分解広帯域キャビティ増幅吸収分光法の開発と装置の構築を行った。衝撃波管としては既設の無隔膜式衝撃波管装置を用い、管末端から3 cmの位置に光学窓を設け、その外側に凹面ミラーを配置することでキャビティを構築した。光源としてはLEDまたはキセノンアークランプを使用し、光をコリメートした後キャビティに入射させた。キャビティを透過した光はスペクトログラフにより波長分散し、16チャンネルのリニア型マルチアノード光電子増倍管の光電面に結像した。検出性能として、波長分解能2 nm、バンドパス32 nm、時間分解能5マイクロ秒を達成した。実効的な光路長は波長280-420nmにおいて60-200 cmとなり、キャビティ増幅率は12-40倍であった。無隔膜式衝撃波管装置との組み合わせでは、積算による検出感度の更なる向上、およびスペクトル領域の拡大が可能である。衝撃波背後での高温反応追跡への適用例として、二酸化窒素の熱分解反応、ホルムアルデヒドの生成及び熱分解反応を測定し、いずれの系においても、文献値とよく一致する結果が得られたことから、本装置が高温反応の速度論的研究に十分な性能を有していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り、装置の立ち上げとその性能評価を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
開発した手法を用いて、主に炭化水素ラジカルの高温反応の速度論的研究を行う。特に燃焼からのすす生成の初期過程である、不飽和炭化水素ラジカルや芳香族ラジカルを検出し、それらの反応を観測することで、芳香族炭化水素成長過程のメカニズムを追う。
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次年度使用額が生じた理由 |
装置立ち上げの円滑化のために測定する波長領域を絞ったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
更なる検出感度向上と測定波長域の拡大のために使用する。
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