長期間運転する回転機械では疲労によるクラック発生は宿命的であり,早期クラック検知は重要な課題である.現在クラックのオンライン推定は行われているが,クラックの有無の判別のみであり,クラック位置と深さまで検知することは困難である.このことから,クラック検出に有効なモデル化手法の構築を目指して研究を実施した. 実施者は平成28年度から所属する研究機関を異動したことに伴い,平成28~29年度は実験環境の整備および計画変更した内容にて研究を実施した.当初,クラック軸を用いた実験を平成30年度まで実施する予定であったが,平成27年度に取得したデータを用いることとし,シミュレーションモデル構築やシミュレーションの実施に時間を割くことにした.平成29年度は,おもに伝達関数表現を利用して課題Ⅰ「柔軟MBDを活用したクラックモデルの構築」の実施,および平成27年度に計測した実験データをもとに課題Ⅳ「提案モデルを用いたクラック検出手法の構築」の再検討を実施した.課題Ⅰにおいては,平成28年度までに構築したシミュレーションモデルをMATLABに実装し数値シミュレーションを実施した.この結果を元に課題Ⅳにおいて平成28年度に取得した実験データとの比較を行い,提案したシミュレーションモデルの有効性を検証した.その結果,良好なクラック予測モデルが構築できたことが確認できた.研究成果は機械学会論文集に投稿し,掲載決定済である.
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