研究課題/領域番号 |
15K18000
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰人 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60516946)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 運動計測 / 慣性センサ |
研究実績の概要 |
現在,実際の環境下で,長時間,日常生活などの動的な人の運動データを計測するために十分なシステムは存在しない.特に,作業を行う手の部分の環境との相互作用および動作の計測は,既存のモーションセンサシステムでは死角となり計測できないことが多い.そこで,本研究は,身体の運動および生活環境との相互作用を定量的に評価する運動計測システムの開発を目的としている. 本年度は,本研究において特に重要となる「ウエアラブルな手の運動計測システム」を開発した.開発したシステムは,3軸加速度センサ,3軸ジャイロセンサ,3軸地磁気センサを1体で構成したMEMS姿勢センサを各指に取り付け,運動を計測するシステムである.また,試作した手の運動計測システムを用い,運動解析アルゴリズムの開発に着手した.動作解析においては,各部位の長さや各関節の中心を明らかにすることは重要である.そこで,姿勢センサの出力を利用した関節中心,および部位長さの推定方法を構築した. 提案した手法を用いて動作解析した結果を既存のモーションキャプチャシステムを用いて検証した結果,既存のシステムとほぼ同精度で動作計測できていることが示せた.ただし,初期姿勢の算出に課題があることがわかり,次年度の課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,「ウエアラブルな手の運動計測システム」の開発,手及び全身運動解析アルゴリズムの開発を目標としていた. ウエアラブルな手の運動計測システムの開発については,当初の計画通りセンサシステムの試作し,試作した手の運動計測システムを用いた運動解析アルゴリズムを作成した.また,試作したシステムは既存のシステムとほぼ同精度で動作計測できていることが示せた.従って,本研究課題おいて,特に重要となる手の運動が計測可能になったため,今後の研究を円滑に遂行することが可能である. しかし,上腕の運動計測に関しては,運動解析アルゴリズムの作成に着手しているが,既存システムとの比較などを行い,精度を検証する段階まで至っていない.これは,今後の計測をスムーズに実施するため,関節中心,および部位長さの推定方法を提案し,その有効性の検証に時間をかけたためである. 以上のことから,若干の遅れがある課題が存在するが,全体の研究計画については概ね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究目的に沿って,ウエアラブル全身運動計測システムの開発を進める.本年度の研究結果より,開発中のシステムは,既存のモーションキャプチャシステムに比べ,設定にかかる時間などが大幅に短縮できることがわかった.従って,計測の容易さを考慮した運動解析アルゴリズムとなるよう研究を進める予定である.
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