研究課題/領域番号 |
15K18005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植村 充典 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00512443)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共振 / 運動学習 / エネルギー効率 / ロボット制御 / 人の運動制御 |
研究実績の概要 |
前年度では共振に基づく運動学習法と人の運動学習を単関節運動を中心に比較したのに対し、平成28年度は多関節での比較を中心とした。対象とした運動は、多関節の周期運動として興味深い歩行運動とした。 その結果、歩行時の矢状面遊脚の股と膝関節の2関節運動を想定した運動学習シミュレーションから得られた運動が、人の歩行データと非常によく一致した。人の歩行時の股関節運動は、加速度の波形において遊脚初期では高い正の値を持ち、その後急激に値が小さくなりつつ遊脚開始20%程度で負の値となる。次になだらかに負に大きくなりつつ遊脚開始70%程度で最も負の大きい値を持つ。その後は急激に負の値は小さくなり、遊脚開始85%程度で正に切り替わる。後は、値が急激に大きくなる。この特徴は、共振に基づく運動学習法で学習した運動と一致した。膝関節も同様に、速度波形が三角波に近くなる特徴や正や負のピーク値を持つ時刻もよく一致した。この時、シミュレーションにおいて股と膝の関節トルクの自乗積分値は学習開始時の10分の1程度となり、非常にエネルギー効率の高い運動が学習できていることを確認している。また、運動学習は20回程度の運動の繰り返しで実現されることも確認した。よって、人は歩行時にエネルギー効率を最適化する運動を行っていることが示唆される結果となった。また、我々の提案した運動学習法が、人の運動学習と近い性質を持っていることも示唆される結果となった。 上記のシミュレーションは、歩行時の矢状面の両脚と胴体を考慮した5関節運動の場合に拡張した。その結果、エネルギー効率の高い運動が学習できることを確認した。ただし、関節トルクの自乗積分の値の現象は2分の1程度に留まり、立脚側の関節運動とは人の運動パターンの特徴とは一部一致しなかった。 本結果を実験的に確認するため、脚ロボットの開発も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した通り、多関節運動に共振に基づいた運動学習法を適用し、その結果と人の運動学習の結果と比較している。 その結果、歩行運動時の遊脚の運動はエネルギー効率の非常にものを学習できることを確認し、非常に人に近い運動となることを確認した。 この点は、当初予定していた結果のうち非常に良いものである。
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今後の研究の推進方策 |
歩行時の矢状面の両脚と胴体を考慮した5関節運動の場合で、共振に基づいた運動学習と人の運動とが一致しなかった点について考察を深め、制御法やアクチュエータ構造の改善を行う。特に、2関節筋のような複数の関節にまたがるアクチュエータを考慮することで、より人の歩行に近いモデルを用いることで、結果が改善されるかを確認する予定である。 製作した歩行ロボットの実機を用い、エネルギー効率の高い運動が実現できることや、エネルギー効率の高い運動が学習できることも確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の予算はほぼ使用し、残額はわずかである。 残額が生じた理由は、当初想定していた機械部品の価格について、同等品がより安価に購入できることがわかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
当初予定していたものよりも少しより性能(加工精度等)の高い機械部品を購入し、品質の高い機械システムを製作する。
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