研究課題/領域番号 |
15K18007
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中川 智皓 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70582336)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運動力学 / パーソナルモビリティ |
研究実績の概要 |
近年,環境保全,高齢社会への対応,移動権の確保といった観点から,歩行の延長をコンセプトとした新しい個人の移動手段,パーソナルモビリティ・ビークル(PMV)の開発が国内外で進んできている.これまでパーソナルな移動手段として,電動スクータ,電動アシスト自転車,電動車椅子が普及している.最近では,オートリフト式の福祉モビリティや新しいデザインと動きの着席型車両も登場している.平行に2つの車輪を有し,制御によって安定性を保持する倒立振子型車両も市販されている.操縦者は,重心移動によって車両を自由に操ることができる.このように,移動の負担を低減させるPMVは,持ち運びや省スペース性の観点から,近年軽量小型化されることが望まれている.しかしながら,車両が軽量になると,車両は人の重量と同程度となり,人との相互作用が無視できなくなる.本研究では,小型のパーソナルモビリティ・ビークル(PMV)の操縦性を向上させること,また操縦性の評価方法を提案することを目的とする.車両単体での走行性能を考えるのではなく,車両と人間の力学的インタラクションを詳細に把握することで,車両の姿勢安定性および操縦性を評価する.PMVの形態(平行二輪や直列二輪,四輪)に応じた操縦性向上のための走行安定化技術を構築する. 当該年度は,車両と人間の連成モデルを構築し,制動時の操縦性について解析および基礎実験を行った.また操舵ゲインを周囲状況に応じて可変とする実験を行い,人間の姿勢安定性や操作性に与える影響を示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,軽量車両を取り扱い,車両と人間の力学的インタラクションを把握することが重要な点である.当該年度においては,車両の操舵ゲインや制動時の制御を変えることで人間の姿勢安定性や操作性に与える影響を把握した.よって,これはPMVの操縦性向上のための一指針となったといえ,おおむね順調に進展していると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の方策は,大きく分けて以下の2点である. 1.倒立振子型車両 これまで状況に応じて車両を自動的に制動させる基本的な原理を提案したが,人間が乗車した際に安定性を確保できない条件もあったため,より安定な制動の実現に向けさらなる実験を行う. 2.立ち乗り式4輪車両 周囲状況に応じて操舵ゲインを可変とするシステムを提案したが,限られた条件での実験確認にとどまっている.よって,より詳細に操縦性を確認するために,新しい実験条件を導入し,計測することを視野に入れる.
|
次年度使用額が生じた理由 |
車両試作について,既存車体の流用など当初計画していたよりも効率的に製作することができたため,次年度使用額が生じた.しかしながら,バッテリーをはじめとした消耗品や改良のための治具が次年度さらに必要となる.
|
次年度使用額の使用計画 |
実験用の車両治具,センサ,電子部品一式を計上する. 成果発表また打ち合わせのための出張経費,英文校閲費を計上する. 各費目が全体の研究経費の90%を超えることはない.
|