近年,環境保全,高齢社会への対応,移動権の確保といった観点から,歩行の延長をコンセプトとした新しい個人の移動手段,パーソナルモビリティ・ビークル(PMV)の開発が国内外で進んできている.これまでパーソナルな移動手段として,電動スクータ,電動アシスト自転車,電動車椅子が普及している.最近では,オートリフト式の福祉モビリティや新しいデザインと動きの着席型車両も登場している.平行に2つの車輪を有し,制御によって安定性を保持する倒立振子型車両も市販されている.操縦者は,重心移動によって車両を自由に操ることができる.このように,移動の負担を低減させるPMVは,持ち運びや省スペース性の観点から,近年軽量小型化されることが望まれている.しかしながら,車両が軽量になると,車両は人の重量と同程度となり,人との相互作用が無視できなくなる.本研究では,小型のパーソナルモビリティ・ビークル(PMV)の操縦性を向上させること,また操縦性の評価方法を提案することを目的とする.車両単体での走行性能を考えるのではなく,車両と人間の力学的インタラクションを詳細に把握することで,車両の姿勢安定性および操縦性を評価する.PMVの形態(平行二輪や直列二輪,四輪)に応じた操縦性向上のための走行安定化技術を構築する. 当該年度は,立ち乗り式四輪車両の加減速時において,意図の有無が操縦者の挙動に与える影響を三次元動作解析装置を用い,実験的に把握した.
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