本研究は,高圧力環境下での駆動を可能とする柔軟外殻水中ロボットの力学特性を明らかにすることを目的としている.本年度は,高圧環境下における柔軟物体の特性評価に関する知見を明らかにするため,高圧力環境下におけるフレキシブルアームの特性変動の計測・評価を行った.高圧環境を実現するために,昨年度,アクチュエータの運動特性を評価するために特注した圧力試験機を利用した.フレキシブルアームの素材として,樹脂素材を検討した.フレキシブルアームはサーボモータに取り付けた後,非伸縮柔軟フィルムで覆い,絶縁流体と共にフィルム内部に封入することで,耐圧容器内でアームを動作させることが可能になった.本実験で使用した圧力試験機はアクリルで製作されており,その内部を視覚センサで計測することが可能である.これにより,圧力環境下でのフレキシブルアームの運動の様子を,視覚センサを用いた計測システムを用いて評価する手法を確立した.実験で使用するサーボモータの特性を考慮し,8MPaまで高圧環境下での運動特性を評価した.実験結果に基づく画像解析より,本フレキシブルアームは圧力の変動に対して,その動きに変化はないことが明らかになった.この結果から,本フレキシブルアームを利用して,高圧環境下でも推進力を得ることができることが示唆された.したがって,本フレキシブルアームを利用して,高圧環境下で運動する水中ロボットが製作可能であることが示唆された.
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