研究課題/領域番号 |
15K18012
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研究機関 | 金沢工業高等専門学校 |
研究代表者 |
伊勢 大成 金沢工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (20734594)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インテリジェントタイヤ / 路面摩擦係数 / スリップ率 |
研究実績の概要 |
本研究では,タイヤ接地路面の摩擦係数の測定が可能なセンサの開発を目的とし.タイヤに装着可能な摩擦係数測定用センサを製作し,同センサの無線化を図り,数十km/hの走行を想定した摩擦試験が可能な装置を製作する.さらに,同装置を用いて高速回転するタイヤでの摩擦係数測定を実現するとともに,タイヤのスリップ率による接地面摩擦係数の変化を解明し,センサの実用化を図る. 現在までに,センサの製作および計測系の無線化を行い,高速・任意スリップ率の摩擦が可能な走行模擬実験装置の設計・製作を行った.計測系の無線化について,無線計測器は当初の予想では20万円程度としていたが,実際には100万円程度の価格であった.そのため,当初予定していた電動スクーターの購入を取りやめ,研究室所有のモータおよび普通自動車用のタイヤ・ホイールを活用し,任意のスリップ率での実験が可能な走行模擬実験装置を製作した.さらに,製作したタイヤ用センサおよび走行模擬実験装置を用いて,時速10kmでのタイヤ回転時の出力を計測している. 今後,製作した実験装置を用いて実車での使用条件に相当する速度で摩擦実験を行い,高速摩擦時のセンサの精度,耐久性などを確認する.その後,同装置によりスリップ率による摩擦状態係数の変化の評価を行い,センサ実用化に向けた要点の整理と総括として以上の結果をまとめる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度4月~8月にかけて,無線による計測系の構築を行った.タイヤを高速回転した場合でも計測を可能とするため,AD機能を有する無線送受信モジュールを使用し,無線による計測系を構築した.なお,ノイズ等の影響は確認されず,特に問題なく無線化できた. 前年度9月~3月にかけて,走行模擬実験装置の製作を行った.新たな装置は,電動スクーターとベルトコンベアを用いたものとし,電動スクーターでタイヤを回転させるものを想定していたが,無線計測器が当初の予想では20万円程度としていたが,実際には100万円程度の価格であったため,当初予定していた電動スクーターの購入を取りやめ,研究室所有のモータおよび普通自動車用のタイヤ・ホイールを活用し,任意のスリップ率での実験が可能なタイヤ回転装置を製作した. また,当初計画していた3軸のロードセルから,研究室保有の2軸のロードセルを活用し,製作の効率化を図った.本研究では,鉛直方向およびタイヤ回転方向への負荷のみ測定できればよく,2軸のロードセルを利用しても問題ない.ベルトコンベアは市販品を利用し,モータを750Wのサーボモータに変更し,高負荷・高速度での実験を可能としている. タイヤ回転用の走行模擬実験装置については,過去の研究で製作した走行模擬実験装置の構成を一部参考することで、設計および製作の効率化を図った. 前年度1月~3月にかけて,タイヤ用センサを製作し,その出力を確認した.普通自動車用タイヤを用いることで,従来の研究と同様の工程でセンサを製作できた.また,センサを装着したタイヤおよび走行模擬実験装置を用いて,装置およびセンサの動作確認を行い,問題なく計測が可能であることを確認している.
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今後の研究の推進方策 |
今後,製作したセンサおよび実験装置を用いて,種々の条件で実験を行っていく. 走行模擬実験装置にセンサを装着したタイヤを取り付け,回転させながら種々の条件で接地面に押し当てセンサの出力を測定する.なお,接地面には各種潤滑剤の塗布や,ベルトの種類を変更することで摩擦係数を調整する.センサの出力とロードセルによる検出値とを比較し,摩擦力に相当する水平荷重,その方向,さらに,鉛直荷重を求め,その各種環境,状態に対する補正方法,摩擦係数の測定精度などを検討する. 以上の実験により,本年度5月~6月ごろにセンサの応答性を確認する.応答性に問題がある場合は,半導体ゲージなどの使用を検討する.次に, 本年度7月~12月ごろにスリップ率による摩擦状態係数の変化の評価を行う.走行模擬実験装置により,スリップ率を変化させた走行模擬実験を行い,センサの出力と摩擦係数の関係を明らかにする.なお,センサによる計測値の誤差が大きい場合や,測定範囲,分解能が十分でない場合,センサ出力の線形性などを再確認するとともに,センサの剛性,装着方法などを調整する. また,本研究で得られた成果の一部を本年度9月の機械学会年次大会にて発表し,研究成果を公開する. 以上の結果を整理し,12月~3月ごろにセンサ実用化に向けた要点の整理と総括を行う.提案するセンサの精度,耐久性などを明確にする.なお,測定結果が良好でない場合は,センサの構造や測定値処理方法などを再検討する.以上の内容を,実用化のための資料としてまとめ総括とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品分の金額で端数が生じたため.
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品用の予算として使用する.
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