本研究では、タイヤ接地路面の摩擦測定が可能なセンサの開発を目的とし、タイヤに装着可能な摩擦係数測定用センサを製作し、同センサの無線化を図り、数十km/hの走行を想定した摩擦試験が可能な装置を製作する。さらに、同装置を用いて高速回転するタイヤでの摩擦係数測定を実現するとともに、タイヤのスリップ率による接地面摩擦係数の変化を解明し、センサの実用化を図る。 まず、スリップ率100%の条件で摩擦係数の異なる固定板上で校正実験を行い、スリップ率100%の条件では摩擦係数の異なる固定板の判別は可能であるが、スリップ率が30%以下の条件の測定精度が低い問題があることを確認した。同内容を9月の機械学会年次大会にて発表した。その後、スリップ率が30%以下の条件でも精度よく測定することをねらい、摩擦係数を変化させた条件で校正を行った。センサの校正のため、摩擦を加えず鉛直荷重のみを負荷する実験を行なった。負荷する荷重は150N以下の範囲とした。次に、鉛直荷重と摩擦力を同時に負荷するため、速度100mm/sの低速条件でスリップ率を0~70%の幅で変更しで実験を行い、鉛直荷重のみの実験結果とあわせ、センサを校正した。その後、実験装置上で、異なる鉛直荷重100N、125N、速度100~1000mm/s、スリップ率2.5~30%の条件下で異なるスリップ率において摩擦係数が測定可能であることを確認した。 今後は、更なる高速条件での測定精度の確認と、センサの装着性、耐久性向上の方法について検討し、実用化を目指した取り組みを行なっていく。
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