U字状に曲げられたチューブを複数のローラで押しつぶし,そのローラを公転させることによってチューブ内の液体を移送させるチューブポンプは,そのすべてのローラを同様の速度で公転させる場合,ローラがチューブから離脱する際のチューブ復元体積分に相当する液量を補填できないため,その送液は,瞬間的な流量・流速低下,さらには逆流を伴う脈動流となることが知られている.本研究では,このポンプの脈動モデルを構築し,繰返し制御を用いた低脈動流化の実現を目的としている. 平成30年度は,これまでの内容(脈動モデルの構築,繰返し制御を用いたモデルの検証,非円形歯車と繰返し制御を用いた単一モータでの低脈動化の実現)が日本機械学会論文集に載録されたため(DOI: 10.1299/transjsme.17-00474),残る課題である,チューブポンプに付加した流量計からの情報を元にした脈動モデルの構築や複数あるローラの公転速度の自動調整化について検討した.しかし,流量計から得られる「流量」という一つだけの情報をどのよう活用すれば良いのか,その本質的な解決策が見いだせず,研究期間内において最終的な目標を達成するには至らなかった.今後は当初の研究計画とは異なるアプローチからも考察を行い,チューブポンプの低脈動流化を考えていきたい.具体的には,これまでに考察してきた内容は若干チューブポンプの機構を複雑にするものであったため,機構の簡素化と送液の低脈動流化のバランスを考えたチューブポンプの実現を考察していきたい.
|