今年度は,本研究の残りの研究項目である(c)様々なトポロジーのDC-DCコンバータへの適用および(d)大容量のDC-DCコンバータを用いた実証試験の2点について検討を行った。 (c) 様々なトポロジーのDC-DCコンバータへの適用:我々はこれまで昇圧型のDC-DCコンバータに対してのみ交流インピーダンス機能の実装を行ってきたが,本研究では降圧型のDC-DCコンバータへの適用を検討した。例えば太陽光発電では太陽電池モジュール直列に接続するため電圧が高くなる傾向にあるため,降圧型への適用も検討する必要がある。昇圧型ではスイッチング素子のデューティ比の変化に対してエネルギーデバイスの電圧変化が線形であったのに対し,降圧型では非線形となる。現在までのところ,降圧型回路の試作まで完了している。 (d) 大容量のDC-DCコンバータを用いた実証試験:エネルギーデバイスを直列接続した場合のインピーダンス診断について,各エネルギーデバイスのインピーダンスの測定が可能であるか検証を行った。直列接続の場合は電流が共通しているためそれぞれのエネルギーデバイスの電圧を測定するための回路を設ける必要がある。本研究ではその一例として実際の固体高分子形燃料電池スタックを用いてインピーダンス診断が可能であるか実証した。個々の燃料電池セルの電圧測定はマルチプレクサ回路を用いることで実現し,すべてのセルに対してインピーダンス測定器とほぼ同等の測定ができることが確認できた。さらに使用した燃料電池のセルバランスの変化も追うことができた。
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