研究課題/領域番号 |
15K18028
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
松本 純 中部大学, 工学部, 助教 (50736072)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 埋込磁石同期モータ / 操作量飽和 / 弱め磁束制御 / アンチワインドアップ制御 / 応答改善 |
研究実績の概要 |
本研究では,埋込磁石同期モータ(IPMSM)ドライブシステムにおける一課題である操作量飽和時の電流・トルク制御性能改善を目的とし,操作量の飽和量および飽和に至るまでの量を情報源とした,新たな電流・トルク制御性能改善手法を提案した。提案法は簡易な条件分岐とPI制御のみの制御アルゴリズムで構成されており,直接的にはモータパラメータを用いないことから,ロバスト性の高い手法という点において他の手法と比較して優位性がある。当該年度に実施した研究の成果は主にシミュレーションによる提案法の有効性および電流・トルク応答改善効果の確認,シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)への適用およびこれに適した手法への改良である。まず,提案法による電流・トルク応答改善効果については電気学会産業応用部門大会にて報告しており,提案法のコンセプトが応答改善に貢献できることを示した。次に,SynRMへの適用については電気学会産業応用部門大会にて,これに適した手法改良に関する検討については電気学会研究会にて報告している。SynRMはIPMSMに比べて磁気飽和現象に伴うモータパラメータ(インダクタンス)変動が顕著であることが知られており,この影響について検討したものである。本報告により,他のモータへの適用可能という汎用性を確かめつつ,さらなる応答改善に向けた調整パラメータの決定法についてもその指針を示した。また,シミュレーション段階ではあるものの,これらの成果を発展させたものとして,産業的にニーズの高い位置センサレス制御系への応用についても,検討しており,平成28年度に開催される国際会議The 18th European Conference on Power Electronics and Applicationsに投稿しており,採択されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度における本研究の目標は,システムの安定性・感度解析およびアルゴリズムの最適化としていた。提案法は条件分岐とPI制御によって制御アルゴリズムが構成されており,この条件分岐を用いて電流指令値生成を2段階に分割することが電流・トルク応答改善に効果的であるといったことがわかった。これについては電気学会産業応用部門大会にて報告している。システムの安定性・感度解析についてはやや進捗が遅れており,学会等での報告は行えていないが,シンクロナスリラクタンスモータへの適用およびさらなる応答改善に向けた調整パラメータの決定法に関する指針を提示することができた。さらに,提案法の位置センサレス制御系への応用についても,その妥当性を検証することができ,これらの成果を国際会議The 18th European Conference on Power Electronics and Applicationsに2件投稿しており,どちらも採択された。以上のことから,当該研究全体の進捗としては概ね順調に進展していると言える。また,平成28年度は実機実験による検証を予定しており,これに向けた実機実験環境の整備も概ね順調に進んでおり,研究遂行に支障はないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従い,今後は実機実験により,本研究の有効性を検証していく。これらの成果は主に電気学会の開催する国内学会を通して報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入費用が大きく,端数が出てしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度の使用計画としては大半が旅費であり,これと合わせて使用していく予定である。
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