本研究の目的は,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)積層板等の樹脂系複合材を主要構造として用いた航空機内において,機内外における電磁環境特性の解明および定量化を行い,携帯電子機器(PED)が航法装置および無線機器に及ぼす電磁干渉(EMI)を定量的に評価するため基礎技術を確立し,将来の樹脂系複合材の広範な利用に向けた電磁環境両立性(EMC)技術を確立することである. 平成29年度は主として,これまでに実施したCFRP積層板を用いたリバブレーションチャンバ内部に電磁界損失媒体が存在する場合の測定評価,およびCFRP積層板で構成された小型航空機数値モデルのFDTD数値解析による機内外の電磁界強度およびIPLの解析評価法を検討を踏まえ,EMC解析技術の確立を目指した検討を実施した.具体的には下記の通りである. 1.CFRP積層板で構成された構造体内部の電磁界数値解析の詳細特性確認結果を踏まえ,金属製小型航空機数値モデルの主要構造材料をCFRP積層板に置き換えて数値解析を実施した.これらからFDTD数値解析を適用した,CFRP積層板を用いた航空機のEMI解析推定技術の検討を行った. 2.これまでの検討で得られたCFRP積層居板の電磁界基本特性,および航空機電磁界数値解析結果を適宜フィードバックして,PEDから放射された電磁波による機内外電磁環境およびIPLの解析推定技術について,定量的に評価するための技術を検討した.
|