平成28年度は、平成27年度に作製したフィルタードカソーディックアーク法に用いるターゲットを用いた製膜の検討を行なった。炭素の安定同位体元素C13粉体より作製した固形ターゲットを通常の炭素C12で作製されたターゲット上に担持し、この本C13ターゲットと真空アークを誘引させる為の炭素電極間で真空アークを発生させ、炭素イオンを得、これを磁気フィルターで各エネルギーに選別し、膜を得る。本年、この製膜を試みたが、C12とC13の間の接触抵抗によりアークの持続が非常に困難である上、この接触面を電流が通過する際に発生する熱によりターゲットが損傷し、膜の形成自体が困難となった。この為、ドーピングによる効果を探索するべく、膜の作製手法を同位体炭化水素ガスからの膜形成へ変更し、膜を作製し、同位体の導入による効果を検証した。これら作製した膜とふぃら歌ー度かソディックアークにより作製される膜の違いは水素の有無であり、これら水素化膜はSi基板上に簡単に作成することができた。これら膜の特性の評価においては特にデバイス化を想定し、C13とC12とn型及びp型のシリコンとの接合デバイスを作製し、作製したデバイスへの各温度下での異なる波長の光照射下での整流特性からC13導入の効果を検証した。その結果、光活性化エネルギーの差異と光活性に必要な波長および活性化エネルギーにC13とC12の間に違いがあることが示され、水素化しているアモルファス炭素膜での結果からとはなったが、C13の導入の一定の効果が示された。
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