研究課題
電荷秩序に起源を持つ電子型強誘電体RFe2O4(R:希土類)は、マルチフェロイック特性と電気磁気効果を示す超高速・極省電力応答素子への応用が期待される。しかし、本物質の電荷秩序構造は強誘電相と反強誘電相を併せ持つ構造であるため、このような応用のためには、電荷秩序構造を制御した薄膜を作製する必要がある。しかし、本物質は作製が困難であるため薄膜の作製自体報告が少ない。本研究では、パルスレーザー堆積法を用いてYbFe2O4薄膜を作製し、その結晶構造を調べた。面直方向・面内方向ともに配向性の高いYbFe2O4薄膜を得ることができたものの、異相として微量のFe3O4を含んでいた。また、面直・面内2θ-θ測定から、すべての方向において格子定数がバルクより拡大し、体積も拡大していることがわかった。室温における電荷秩序の有無を調べるため、(-1/3 -1/3 L)付近において逆格子マッピング測定を行ったが、電荷秩序の形成を示す超格子反射は観測されなかった。Fe3O4が生成した原因は、成膜条件が酸化側に寄っていたためだと考えている。Fe3O4もYbFe2O4同様Fe2+とFe3+が共存する物質であるが、その存在比はFe2+ : Fe3+ = 1 : 2であり、YbFe2O4より酸化された物質である。また、薄膜YbFe2O4のa軸長、c軸長がバルクと比べて拡大していたことも、成膜条件が酸化側に寄っていたことを支持する。YbFe2O4単結晶バルクにおいて、過剰酸素が存在するとa軸長が拡大することが報告されている。また、電荷秩序が形成されなかったことも、過剰酸素の存在によりFeイオンの価数バランスが崩れたことに起因する可能性が高い。したがって、単相で電荷秩序を持つYbFe2O4を得るにはより低酸素分圧下での成膜が必要であることがわかった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (46件) (うち国際学会 12件、 招待講演 1件)
Applied Physics Letters
巻: 110 ページ: 052901-1 -4
10.1063/1.4974994
Trans. Mater. Res. Soc. Jpn.
巻: 42 ページ: 1-3
10.14723/tmrsj.42.1
巻: 42 ページ: 5-7
10.14723/tmrsj.42.5
巻: 41 ページ: 269-271
10.14723/tmrsj.41.269
巻: 41 ページ: 263-267
10.14723/tmrsj.41.263
電子情報通信学会技術報告書 信学技報(IEICE Technical report)
巻: 31 ページ: 27-30
巻: 75 ページ: 31-34
巻: 75 ページ: 25-29
巻: 56 ページ: 7-11
巻: 60 ページ: 1-6
巻: 31 ページ: 31-34
巻: 75 ページ: 35-40
巻: 31 ページ: 5-9
巻: 23 ページ: 29-32
巻: 23 ページ: 23-27
巻: 23 ページ: 19-22