研究課題/領域番号 |
15K18043
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大曲 新矢 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 先進パワーエレクトロニクス研究センター, 研究員 (40712211)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ダイヤモンド / パワーデバイス / 省エネルギー / 低損失 / 低抵抗 |
研究実績の概要 |
ダイヤモンドはSiCやGaNを凌駕する優れた物性値を複数有し,次々世代の省エネルギー社会を担うパワー半導体材料として期待されている.アンペア級駆動の縦型デバイス構造では,動作時の損失を極限まで低減するため導電性低抵抗ウェハを用いる必要があるが,デバイスグレードの高品質結晶は得られていない.本研究は,単結晶ダイヤモンドの大面積合成で優位性のある熱フィラメントCVD法を基調として,高濃度ドーピング時の結晶成長機構解明と高品質化を図り,超低損失パワーデバイス用途の低抵抗ウェハを創製することを目標とする. 1年目(平成27年度)は,薄膜基礎物性探索に焦点を絞って研究を実施した.熱フィラメントCVD法により高濃度ホウ素ドーピングダイヤモンド薄膜を合成し,ドーパントの活性化率および不純物の取り込み効率を評価した.CVD成長中の気層中から膜中へのホウ素取り込み効率は約100%と高く維持されており,1E21cm-3を超える高濃度ドーピングが可能であることが分かった.抵抗率は過去報告値最低レベルにまで下がっており,1mOhmcm台まで低抵抗化していることが明らかとなった.また高濃度ドーピング膜と絶縁基板界面では,擬似格子整合成長しており,転位生成が抑制されいることが分かった.市販のダイヤモンド基板は絶縁性のものに限られているため,格子緩和を伴わない本成長様式は実用上重要であると考えられる.今後,結晶成長パラメータの最適化により厚膜・ウェハ化を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に沿っておおむね順調に結果が得られている.アンドープ結晶合成で培った高品質化技術を高濃度ドーピング環境に適用できたため,系統的な物性探索を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
上記得られた知見に基づいて,次年度では低抵抗ダイヤモンドの厚膜成長と自立化に取り組む.
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