研究課題
物の動きや位置関係を把握する空間認識は、自動運転車や自律歩行ロボットを実現する上で必要不可欠である。通常、工学的システムにおいては、画像センサや距離センサの情報を元に空間認識が行われるが、実時間処理のための高速演算には大きな電力消費を伴う。一方生物は、主に視覚情報を頼りに極めてエネルギー効率のよい空間認識を行っている。例えば昆虫や鳥も行っている運動立体視では、単眼から得られる情報を使って対象物の素早い動きを認識し、障害物回避などの視覚運動制御を行っている。この運動立体視による空間認識を集積回路(LSI)で実現することが本研究の目的である。本研究では、ヒトの視覚野における運動立体視の神経回路網モデルの一つである川上・岡本モデルに着目した。本モデルは、複数の視野局所領域において速度ベクトル(局所運動)を検出し、それら局所運動を統合してオプティカルフローを検出することで、接近する物体を構成する平面の衝突時間と方位を検出する。本研究計画の初年度と次年度においては、局所運動の検出と統合を行うLSIをそれぞれ試作した。最終年度にあたる平成29年度では、これらのLSIを用いた空間認識システムの構築を行った。LSIをFPGA(Field Programmable Gate Array)と接続するためのプリント基板を作成し、CameraLinkカメラで取得したライブ動画像をFPGA経由でLSIに入力し、LSIからの出力をFPGA経由でPCに表示するシステムを構築し、複数の視野局所領域の局所運動をリアルタイム(毎秒30フレーム)で検出することに成功した。また、カメラを電車模型に搭載し、ランダムドットパターンが描かれた平面に対して一定速度で接近させることで、平面の接近と傾きに対応するオプティカルフローを検出することに成功した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 14件、 招待講演 2件)
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