研究課題/領域番号 |
15K18046
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊藤 浩之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (40451992)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | センサ技術 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,2次元以上の物理空間で土壌水分量を測定するためのハードウエア構成をシミュレーションと実測を行いながら研究した.空間分解能と水分量測定精度を向上させるために,伝送線路構造と周波数の最適化手法の検討を開始した.まずは,その過程で再現性が高い土サンプルの作成が重要であることが分かった.そこで,任意の水分量のサンプルを作成するための方法自体を見直した.土の乾燥方法を調査し,電子レンジやオーブントースター,天日干しといった方法によって乾燥させる方法を検討し,オーブントースターを利用する方法を採用することとした.土体積の測定方法を検討し,体積を乾燥土の比重の統計データから計測する方法などを考案した.次に,保有設備のベクトルネットワークアナライザ(Agilent社N5245A)を拡張して,誘電体プローブ法ソフトウエア(Keysight社N1500A)と誘電体プローブキット(Keysight社N1501A)を導入した.これにより,200MHzから20GHzという広い周波数帯において,水分量ごとの土の複素誘電率が測定できるようになった.これらの成果をもとに,複素誘電率の実測を行い,土中イオンの影響を受けにくい周波数帯を検討した.この周波数帯から,最適なスタブ型センサの長さや構造もほぼ明らかになった.以上により,空間分解能と水分量測定精度を向上させるための,伝送線路構造と最適な周波数帯に関して知見が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次元以上の物理空間で土壌水分量を測定するためのハードウエア構成をシミュレーションと実測を行いながら研究することと,空間分解能と水分量測定精度を向上させるために伝送線路構造と周波数の最適化手法を検討することを目標とした.実測により,最適な周波数帯について知見が得られ,これにより最適なスタブ型センサの長さや構造もほぼ明らかになり,2次元以上の物理空間で土壌水分量を測定するための構成について多くの知見が得られた.したがって,平成28年度の目標は概ね達成できた.
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,さらなる水分量高精度測定のために,土壌の影響を考慮した有損失伝送線路モデルと土壌の複素誘電率を計算する手法を検討する.さらに,土壌中イオン濃度も測定する技術の実現可能性を研究する.
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