本研究では、マイクロディスクに発現することが見込まれるウィスパリングギャラリーモード(WGM)に注目し、このマイクロディスクを集積することで高効率の発光デバイスの実証を目的としている。GaN上AlGaN薄膜結晶をパターニングとドライエッチングし、さらに水素ガスを用いた熱エッチングよりマイクロディスク作製技術を開拓した。また、これらマイクロディスクをアレイ化したデバイス構造への電流注入によってエレクトロンルミネッセンスを確認するなどの要素技術の開拓を進めてきた。しかしながら、光励起下ではレーザ発振様のシャープなフォトルミネッセンスをマイクロディスクもしくはそのアレイから確認したが、電流注入によってはマイクロディスクからは、このような発光現象は確認されなかった。このような発光に至らない要因とその課題について最終年度は検討した。その課題として、マイクロディスクの上面に電極を一様に形成するとマイクロディスクを支える支柱部(中央部)に電流が流れやすいことが予想された。ここで、WGMにより共振する光はマイクロディスク外周(側壁)近傍に局在しやすいことから、この光共振モードによりレーザ発振に至らせるにはこの外周近傍に十分な電流を注入するし発光利得を得る必要があると考えられた。そこで、マイクロディスクに目的とするマイクロ構造をダメージレスに作製する手法としてミストCVD法によりマイクロディスク上へのZnO系結晶の作製と本構造の水素を用いた低温(GaNをエッチングする温度に対して)のエッチング方法を検討した。本手法によりマイクロディスク中央部に電流注入の障壁となるマイクロ構造形成可能性を探索した。ZnO薄膜は先の手法により形成可能性を見出すとともに、マイクロディスク構造を外形上は損なうことなく水素を用いた熱エッチングによりマイクロディスク上のZnO結晶をエッチングする条件を見出した。
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