超音波診断装置(エコー)は、2 次元断層像を非侵襲かつリアルタイムで取得できる医療診断技術である。近年、循環器系疾患の早期発見、治療のために内視鏡による血管内の超音波診断の需要が高まっている。本提案では、微細加工に適したLSI 用Si 基板上にガンマアルミナ薄膜結晶をバッファ層として用い圧電材料であるPZT 薄膜による超小型超音波3 次元イメージング用プローブチップによる超音波指向性制御を実現する。 27 年度は超音波ビーム形成に向けた振動子の配置レイアウトの検討を行い、超音波ビーム形成に向けた振動子の配置レイアウトの検討を行った。様々なレイアウトにおける超音波ビーム形成の様子をシミュレーションにより解析し、アニュラーアレイにより予定の性能が得られることを確認できた。 28年度は前年度に得られた振動子配置レイアウトを元に、超音波ビーム指向性制御の検討を行った。同時駆動するアニュラーアレイの数を変化させることで、ビーム径が制御可能であることが確認できた。アレイ中の素子数を50素子以上とすることで、アレイ前方への超音波のフォーカシングが現れ、素子数の増加に伴い遠方にてフォーカスされることが確認できた。また、距離1cmにおけるビーム径を半値幅で6mmとできることがわかったが、今回作製した素子のフォーカスポイントはチップ前方数mmの距離であるため、今後フォーカス距離を最適化することでさらに半値幅を小さくすることが可能と思われる。また、並行して振動子性能の改善を目的に素子構造の検討と製造プロセスの改善を行い、素子へダメージを与えるプラズマプロセスを1工程削減するプロセスを開発した。 これらの成果より超小型超音波3 次元イメージング用プローブチップによる超音波指向性制御への目処が得られた。
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