研究課題/領域番号 |
15K18055
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
多喜川 良 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 助教 (80706846)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光導波路 / 異種材料接合 |
研究実績の概要 |
本研究では、超高速光変調可能なニオブ酸リチウム (以下LNと略す)結晶に着目し、従来の半導体加工技術では困難な平滑な側壁を有する細線光導波路の作製に向け、切削加工の適用可能性を調査する.併せて、LN光導波路のSi上への搭載行うために、大気中接合技術を用いた導波路移載接合法を提案する.本年度の研究成果は以下である. (1)切削加工には、鏡面加工が施された単結晶ダイアモンド工具を用いた.LN結晶の加工時の脆性破壊を避けるためには、延性モード加工を行わなければならない.そのためには、工具切り込み深さを100 nm 以下とする必要があることが分かった.高精度に繰り返し切削加工を行うことで垂直な側壁を有する導波路加工が可能となり、平滑な側壁が得られることを確認した(RMS:3.6 nm).これにより、低損失な光導波路作製が期待できる.今後曲げ導波路加工の検討や光学特性の評価を行っていく予定である. (2)熱膨張係数が大きく異なるLNとSiの接合には、従来の高温アニールプロセスを加えられない.そこで、Auを介した常温接合技術、レーザ照射を用いた局所アニールによる直接接合技術の開発を行った.引張り試験の結果、2 MPa以上の強固な接合強度が得られた.これらの接合技術を用いてLN薄膜移載接合を行ったところ、Si基板上にLN薄膜(厚さ:4ミクロン以下)の搭載に成功した.本成果は、新しい異種材料基板上への光機能部品集積技術としても期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高精度に繰り返し切削加工を行うことで平滑な垂直側壁を有する導波路加工が可能となることを示した.またLN-Si接合技術の開発を行い、LN薄膜移載接合を行ったところ、Si基板上にLN薄膜(厚さ:4ミクロン以下)の搭載に成功した.これらの成果から研究計画としてはおおむね順調に進んでいると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後、切削加工を用いてLN直線ないし曲線光導波路の作製を行い、光学特性等の評価を行う.また、本移載接合を新しい異種材料基板上への光機能部品集積技術と発展させるための検討を行う必要がある.光学部品やプロセス技術開発のために必要な部品の購入を行い、導波路の光学特性や接合のメカニズムを評価していく予定である.
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