テラヘルツ量子カスケードレーザ(THz QCLs)はワットクラスの高出力、連続動作、狭線幅などの特徴を有する小型の半導体テラヘルツ光源として、分光、リアルタイムイメージング、ローカル超高速大容量無線通信など幅広い産業への応用が期待されている。しかしながらその最高動作温度は199.5 K (@3.2 THz)と低く室温での動作にはまだ至っていない。本研究では、量子カスケード(QC)活性層に、緻密で理想的な波動関数設計を可能にするモジュレーションバリア構造を導入することによって、発振下位準位へのリーク電子注入や熱励起LOフォノン散乱を大幅に抑制することで、これまで困難であったTHz QCLsの室温動作とより高い出力を実現すること目的とする。 モジュレーション法を用いた3量子井戸型共鳴トンネル注入機構THz QCLsの実現:電子引き抜き井戸層中に高いエネルギーをもつ極薄膜障壁層(エクステンションバリア)を挿入することで、その付近で界面粗さ散乱確率が増大し効率的に電子を引き抜きぬくことを実現する。同時に発光層中にあるAlGaAs障壁層のエネルギー準位を他の障壁層のそれより低く設計することで、振動子強度の大きさを保ちながら界面粗さ散乱強度を減少させることも実現します。この設計は所望の準位への電子注入効率と選択性を改善し、注文効率を改善の同時に光利得の低減に繋がる界面粗さ散乱の影響を排除する。現時点は高温動作より高出力化の方が結果が出てきます。高温動作は昔同じ構造の素子から約30K上がり、160Kまで達成しました。発光層のより大きく光利得を得るため、77Kの平均出力はsub mWを実現しました(低温のピーク出力は250mWを到達する)
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