ウエアラブル機器用途をはじめとしたフレキシブルデバイス、あるいはストレッチャブルデバイスの構築に向け、そのために必要な電極・配線の実装技術、ならびに当該電極・配線の印刷形成に係る技術開発を遂行した。具体的には、導電インクを転写印刷する技術を利用して、配線・電極を粘着フィルムの粘着層の上に配した構造を作製し、さらに、その粘着体の粘接着力を利用して、粘着体上の電極・配線と、それに相対する電子部品等の電極・配線とを接続するフレキシブルコネクタ・フレキシブル実装技術の開発、ならびに実際の実装品の駆動を試みた。ここでいう転写印刷は、自身が開発したスクリーンオフセット印刷なる技術であり、シリコーンゴムへのスクリーン印刷の後、ゴム上の導電インクパターンを基材(ここでは粘着体)に転写するもので、微細(幅数10μmあるいはそれ以下)、かつ厚膜(厚み5μm以上)の電極・配線を形成しうる手法である。2016年度は、2015年度に実施した幅数10μmの微細な電極・配線を粘接着体上に形成する技術の確立に加え、実装用途に資する電極・配線の厚膜化(概ね5μmあるいはそれ以上)を試み、導電インクの抜け性のよいスクリーン製版の使用、ならびに重ね刷り技術を駆使して、厚膜のパターン形成を実現した。例えば、2回の重ね刷りで幅20μm、厚み7μm、また、(細線ではないが)4回の重ね刷りで、幅1 mm、厚みが60μm以上の電極・配線の形成に成功した。一方、粘着体上の電極・配線を用いて実際の電子部品の駆動にも取り組んだ。凸面方向に曲率半径数cm程度に強く曲げると、接続が外れるといった問題が生じたが、それ以外は良好な電極・配線の接続が実現され、実装された各種の電子部品も問題なく駆動できた。
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