研究課題/領域番号 |
15K18063
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
安在 大祐 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40611116)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | インプラント機器 / 位置推定 / 方向推定 / 散乱電界 |
研究実績の概要 |
本研究目的は「通信機能を有しないインプラント医療機器の高精度な位置・方向推定技術、及び高効率な無線電力伝送システムの開発」である。前年度には体内内部構造推定を利用したインプラント医療機器位置・方向推定法の開発を実施したが、当該年度においてはコイル形状の最適化や無線電力伝送の高効率化の観点での評価を実施した。コイル形状の最適化においては、コイルの大きさは周波数帯にも影響を受けるためインプラント医療機器に適用可能な大きさでのコイル形状を実現する周波数帯も模索した。無線電力伝送の効率には人体電気定数の周波数依存性から周波数帯の選択が重要であり、この点も詳細に検討を行った。これらの検討は日本成人男性を模擬した解剖学的人体数値モデルによるFinite Difference Time Domain (FDTD)シミュレーションによる数値解析により実施し、その結果として、インプラント通信で広く用いられるMedical Implant Communication Service (MICS) 400MHz帯で利用可能なコイル形状の開発を実現できた。本開発アンテナを用いた場合において、前年度に開発したインプラント機器の方向推定法を適用し、得られた角度推定誤差を給電方向のミスマッチとして与えることで無線電力伝送の効率に角度推定誤差の影響がどの程度あるのかを評価した。本研究での解析の結果として、高効率な無線電力伝送を実現するためには数度以内での高精度な角度推定精度が必要であることが確認された。次年度の実施内容として、前年度と本年度で実施した項目の実験的検証を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に掲げた事項は全て実施済みであり、予定通りに来年度の研究に着手可能な状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い、無線電力伝送の「生体安全性の評価・検討」を行う。人体内部に存在するインプラント医療機器の無線電力伝送を行う際にはその安全性評価も重要な検討項目である。本研究では、研究協力者の協力を受けながら、外部からの入社電磁界による単位質量あたりの吸収電力(SAR)や誘導電界の解析を行い、安全基準値を満たしているかの検証を行う。本検討はFDTDによる電磁界解析を主にしてシミュレーションによる実施を予定している。 さらには、これまでに検討してきた項目の実験による評価も実施を予定している。実験による評価を行うために実験評価系の開発を行い、実験環境としては人体の生体組織を模擬した人体ファントムによる実験を基礎とする予定である。実機実験と計算機シミュレーションによる結果に大きな相違があった場合には、計算機シミュレーションの内容を再度確認し、その原因追求も行う予定である。実験の結果を踏まえて、実際でのインプラント医療機器を想定した場合の無線電力伝送の実現可能性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品調達が予定より安い価格で調達ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は実験で必要となる機器(アンプ等)の調達を計画しており、そこに計上する予定である。
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