研究課題/領域番号 |
15K18068
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
三好 悠司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00582389)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 伝送ひずみ / 相関検波 |
研究実績の概要 |
平成28年度は数値シミュレーションにより伝送路で発生する波長分散および非線形光学効果により発生する伝送ひずみが受信信号品質に与える影響を低減するための方法についての提案と検討を行った。 信号ひずみの低減方法については、相関受信器に用いる参照光に伝送ひずみを反映させることにより受信信号品質の低下を抑制する方法について提案した。そして、残留分散と非線形光学効果によるひずみのそれぞれについて数値シミュレーションにより検討した。そして、補償可能な残留分散の大きさの範囲や非線形光学効果によるひずみの影響を低減する効果について確認した。 また、相関受信器に求められる帯域幅やADCの分解能について検討を行い、相関受信器に必要となる帯域幅やADCの分解能が伝送特性に与える影響を明らかにした。 これらの検討内容については国内学会発表8件、国際会議2件、学術論文誌1件の発表を行い、学術論文誌で2件採録決定済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度提案した帯域幅の制限された相関受信器を用いて高い受信信号品質を得るための方法について、設計上重要なパラメータとなる必要帯域幅とADCの量子化ビット数を明らかにすることができた。 伝送路で発生する波長分散および非線形光学効果により発生する信号歪みが受信信号品質に与える影響とその低減方法についての検討を行い、数値シミュレーションにより受信信号品質の改善効果を確認することができた。 また、波長分割多重時の受信信号品質への影響について、数値シミュレーションを行う体制を整え、信号品質への影響の検討中である。 上記のとおり、装置に必要となる条件や改善効果が数値シミュレーションにより明らかとなったため、それらの必要条件を反映した原理確認のための送受信機を構築中であり、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、下記内容についての研究を進める。 1.整合フィルタとしての信号対雑音電力比改善効果とシンボル間干渉への影響:構築した信号光発生装置及び参照光発生装置と数値シミュレーションを用いて、伝送路における信号歪みの補償効果の確認と非線形光学効果を用いた参照光発生方法についての詳細な解析を行う。 2.波長分割多重伝送時のクロストーク:本方式と波長分割多重伝送を併用した時の影響についても検討を進める。伝送路で発生する非線形歪みは四光波混合や信号のスペクトル形状変化によって信号帯域外に影響を与え、クロストークが生じることが考えられる。数値解析や参照光用光源の波長を変化させることで、信号干渉の大きさに関する実験的検証を行う。 3.広帯域参照光の発生方法:広帯域参照光の発生方法として、短パルスや非線形光デバイス、群速度分散デバイス、光学フィルタ等を用いて、参照光を発生させる方法について、数値計算により検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
相関受信器の必要特性の明確化を行い、仕様が確定したものから順次準備を進めているため、伝送ひずみの補償方法の確認のための装置の一部を次年度に見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果発表費用及び、伝送ひずみ補償方法確認のための送受信機の構築に用いる。
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