本研究では、レーダによる非接触計測による人体モニタリング技術の開発を行った。人体の姿勢や運動に伴うレーダ信号の特徴を機械学習により学習し、対象者の異常を自動検知する技術を開発した。まず、レーダによる人体の運動推定技術を開発した。複数人体からの反射波を信号のテクスチャ情報を用いて自動分離し、かつ各々の人体からの反射波を時間・距離・角度・速度の4次元空間で統合的に解析する手法を開発した。次に、人体数値モデルでは表現できない姿勢・運動を検出するためのイメージング技術を開発した。可逆変換とキルヒホッフ積分を併用することで周波数-波数領域での高速計算を実現し、人体イメージングの高速化と高分解能化を両立することに成功した。 続いて、人体のレーダデータを機械学習で処理し、運動種別の識別を行う手法を開発した。実験参加者に複数種類の行動を繰り返し行わせて超広帯域レーダによる測定を行い、レーダデータに運動種別のラベル付けを行ったレーダ信号のデータベースを構築した。機械学習には畳み込みニューラルネットワークを用いて、人体の行動を自動識別する手法を開発した。正常時と異常時の運動種別をそれぞれ複数選択し、被験者のレーダ測定を実施した。レーダで測定された反射波からマイクロドップラ画像を生成し、多層畳込みニューラルネットワークに入力することで運動種別の識別精度を評価した。その結果、運動種別を約90%の精度で検出できることを確認し、開発手法の有効性が示された。
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