研究課題/領域番号 |
15K18086
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
伊吹 竜也 東京工業大学, 工学院, 助教 (30725023)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 制御工学 / 協調制御 / ロボティックネットワーク |
研究実績の概要 |
2016年度は,3次元位置・姿勢協調制御について,当初の計画にあった主要な3つの課題に対して順調に成果を挙げた.まず,位置・姿勢協調制御の発展として,これまでは制御対象として任意の速度・角速度入力が生成可能な全駆動な剛体を仮定していたことに対して,現在注目されているクアッドロータのモデルを新たに導入し,ダイナミクスを陽に考慮した位置・姿勢協調制御則を提案した.さらに,複数台のクアッドロータを用いた実験システムを新たに構築し,提案制御則の検証実験にも成功した.2つ目の課題として,より実用的なロボットを意識した非ホロノミック拘束を有する位置・姿勢協調制御について,代表的な対象である2輪車両系に対して様々な制御手法を提案した.また,2輪車両系の前方位置に着目することで制御が容易となるLook-ahead Controlという概念を導入することで,複数の2輪車両に対する位置・姿勢協調制御則を新たに提案した.3つ目の課題として,制御則の実装まで着目した視覚情報に基づく位置・姿勢協調制御の準備として,2輪車両系に対して上記のLook-ahead Controlを応用した視覚情報に基づく制御手法を新たに提案した.以上の成果は,複数の学術論文や多くの会議論文に採択され,学術的に意義が認められている. さらに,上記の主要課題に加えて,2016年度より新たに2種類の課題に取り組んでいる.1つ目として,これまで考察してきた視覚情報に基づく位置・姿勢協調制御問題に対して,新たに確率の概念を導入し,確率外乱を含むシステムに対して安定性解析を行った.2つ目は,3次元上の全駆動な剛体を実現するために,全駆動ヘキサロータの開発を行い,実機の製作や飛行実験に成功した.また,製作したヘキサロータに対して新規の制御則を提案した.これらの成果についても,学術論文や会議論文に採択され,その意義が認められている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2016年度は,当初の計画の通りモバイルロボティックネットワークの3次元位置・姿勢協調制御に関する3つの主要な課題に対してそれぞれ順調に成果を挙げており,また当初の計画では2017年度に取り組むべき課題としていた一部を前倒しして着手することができている.さらに,当初の計画にはなかった確率の概念の導入や全駆動飛行体の製作・飛行実験も行っていることから,本研究は当初の計画以上に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は,まず,当初の計画の通り視覚情報に基づく位置・姿勢協調制御の発展に取り組む.ここでは,特にモバイルロボット間の視覚による情報交換構造の発展や,視覚情報に基づく衝突回避・可視性維持制御則の導入を試みる.また,2016年度までに構築した実験システムをより多数の飛行体を扱えるように改良し,インパクトのある実験を行うことで本研究を国内外に発信していく.さらに,2輪車両型ロボットを製作・導入し,これまでに提案した非ホロノミック拘束を有するモバイルロボットに対する位置・姿勢協調制御則の検証実験を行う. また,これまでの研究ではすべて連続時間システムを対象に制御則の提案や収束性解析を行っていたことに対して,2017年度は新たにシステムの離散化を行い,離散時間システムに対する位置・姿勢協調制御則の提案や収束性解析,実験検証に着手する.これにより,本研究の今後の発展として,モバイルロボットの実際の運用に欠かせない入力・状態拘束を陽に扱えるモデル予測制御の導入や,現在応用が期待されている学習機構の組み込みが期待される.
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