研究課題
平成29年度は,モバイルロボティックネットワークの3次元位置・姿勢協調制御について,当初の計画にあった主要な課題に対して順調に成果を挙げた.まず,これまで対象としていた各剛体のモデルとして,速度入力を仮定する運動学モデルからより実用的な力・トルク入力を扱う動的モデルへと拡張した.具体的には,新たにスライディングモード制御と呼ばれる制御手法を従来の速度同期則に融合させることで,収束性を保証する新規の制御則の提案を行った.つぎに,劣駆動性を有するモバイルロボットの位置・姿勢協調制御について,複数のクアッドロータを用いた実験環境を大きく改良した.具体的には,安全性を考慮したドローン専用の実験場を新たに構築し,新たな実験環境下において従来よりも良好な実験結果を得た.他方,全駆動な剛体を実現するための全駆動ヘキサロータ型飛行体の開発についても目覚しい発展を遂げた.具体的には,対象とするロータ配置構造のクラスの拡張や,ロータを立体的に配置する新たな構造を有する実験機の製作・実験を行った.さらに,飛行時の未知ダイナミクスを学習する研究にも着手した.また,新たに当初の予定になかった2つの課題にも取り組んだ.1つ目として,各剛体のモデルに外乱が生じる場合を考慮し,これに対して外乱を抑制する積分機構を導入した新規の制御則の提案,および収束性解析を行った.2つ目として,本研究の今後の発展に向けて,各剛体の連続時間モデルを離散化し,離散モデルに対する新規の位置・姿勢協調制御則の提案,収束性解析およびクアッドロータを用いた実験検証を行った.本成果は,平成30年度より開始する科研費研究課題「ドローンネットワークの学習型位置・姿勢協調制御理論の構築と実験検証」に引き継がれる.以上の成果は,複数の学術論文や多くの会議論文に採択されることで,学術的に意義が認められている.
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 6件) 備考 (1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
巻: 11 ページ: -
計測自動制御学会論文集
巻: 53 ページ: 480-489
10.9746/sicetr.53.480
http://www.sl.sc.e.titech.ac.jp/~ibuki/home.html