研究課題/領域番号 |
15K18090
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
花澤 雄太 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40714770)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 2足歩行ロボット / リミットサイクル歩行 |
研究実績の概要 |
平成27年度に取り組んだ内容と成果について以下に述べる. まずは,3次元歩行モデルの構築と歩行シミュレーターの作成を行った.これによって,ニュートン・オイラー法を利用した多自由度モデルの構築のノウハウなどを得ることができた.同時に,計算速度の面などの問題などにも直面し,これを克服したシミュレーターの構築は時間がかかることが予想されることがわかった.このため,歩行シミュレーターについてはより高速な計算が可能となるソフトウェアの導入を検討するという方針が立った. つぎに,歩行において非常に重要となる足首機構に着目した研究を行った.高速で高効率なリミットサイクル歩行を実現するための足首機構として,これまでに足首に金属バネを有する機構が提案されているが,足首の金属バネによって足の動作が制限されてしまうという問題があった.これは,全身の協調的歩行を実現するにあたり大きな障害となるため,これを解決する機構を開発する必要があった.そこで,足首に異なる特性のゴムを配置する手法を提案した.この足首機構によって,自由な底屈運動と高速で高効率なリミットサイクル歩行を両立できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元歩行シミュレーターは当初手製のものを使用することを考えていたが,研究実績でも述べたように高精度で計算速度に優れたものを自身で開発するのは困難であることがわかった.このため,汎用の動力学シミュレーターを調査・選定しており,ある程度の目星がついてきた状況である.また,協調歩行を実現するにあたり非常に有用となる足首機構のモデル化や数値解析なども進んでいる.この足首機構に関する成果は,学会発表や論文投稿なども活発に行なっている.このため,研究全体としてはおおむね順調に進展していると考えている. ただし,3次元歩行解析は研究開始当初よりも様々な面で困難であることがわかった.このため,研究の状況次第では,2次元解析のみに注力する可能性も考慮して研究を進める.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,3次元歩行シミュレーターの環境整備を行っていく.現時点では,2次元歩行解析に留まっているため,平成28年度中には3次元歩行解析を行うことを目指す.また,2次元歩行解析においてもいくつかの成果が得られる可能性があるため,この解析も並行して行っていく.特に揺動質量を利用した歩行や,腕振り運動を利用した歩行などの詳細なデータを解析し,これを論文として発表したいと考えている.そして,ゴムを利用した足首機構についても研究を進めていきたいと考えている.この機構は従来機構では困難な歩行を実現する可能性を秘めており,非常に興味深い機構である.このため,簡単な歩行実験機などを作成し,解析を進めることなども検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
歩行シミュレータの構築などで使用するソフトウェアを再検討していたため,初年度ではソフトウェアの購入を行っていない.また,当初予定していた国際会議に参加できなかった.このため,次年度に研究費が繰り越された.
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次年度使用額の使用計画 |
数値計算機などは初年度で充実させることができたため,今後は数値計算などで使用するソフトウェアや論文投稿費,学会参加費,実験機開発などを中心に使用していく予定である.
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