研究課題/領域番号 |
15K18092
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森田 亮介 岐阜大学, 工学部, 助教 (00713801)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 量子化制御 / ディザリング / 暗号化通信 |
研究実績の概要 |
本研究では,ディザリング技術に基づく量子化制御理論の確立と,これを応用した暗号化通信制御の実現を目指している.ディザリングとは,オリジナルの信号に意図的にディザ信号と呼ばれるノイズのような信号を加える方法であり,これにより,量子化,すなわち制御信号の解像度を落とすことによる,制御性能の低下の抑制が期待できる.量子化に用いるディザ信号と,暗号化に用いる暗号鍵の類似性から,この方法を暗号化通信制御に応用することが目標である.そのための基礎研究として,平成27年度では,以下の成果を得た. (1)制御信号の量子化を行なう前でディザ信号を制御信号に加算し,さらに量子化を行なった後でディザ信号を減算する,Subtractive Ditherと呼ばれる方法をフィードバック制御系に適用した場合の制御性能について,定量的に明らかにした.その結果,通常のディザ法(Non-subtractive Dither)を用いる場合に比べて,制御信号の量子化がない理想的な制御系により近い入出力応答が得られることを示した.また,数値シミュレーションにより,システムの振る舞いから,量子化に用いたディザ信号の組み合わせを区別し得ることを示した. (2)多数の車両ロボットを平面に配置し,低スペックのセンサーを用いた空間認識と安価なモーターでの駆動によるフォーメーション制御の実験を行なった.これにより,本研究の実験検証を行なうための装置の性能を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験環境に関しては研究計画とはやや異なる点があるものの,ディザリングを用いた量子化制御技術については,国内学会で発表を行っており,目標とする暗号化通信制御の基礎ができつつあるため.
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今後の研究の推進方策 |
量子化制御に関して,制御系のモデルに基づいたディザリング方法についての検討を行なう.また,具体的なアプリケーションを想定し,暗号化への利用について研究を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
減額により,当初予定していた実験装置が購入できなくなり,計画の修正が必要であった.また,所属機関の異動に伴い,備品購入を控えたため.
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次年度使用額の使用計画 |
本格的に通信が必要な制御実験を行う予定であり,この装置の購入に充てる.また,国際会議発表のための旅費に充てる.
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