研究課題/領域番号 |
15K18093
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
向井 正和 工学院大学, 工学部, 准教授 (50404059)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 交通システム制御 / 信号機制御 / モデル予測制御 / 最適化 |
研究実績の概要 |
省燃費走行のための軌道を生成する計算アルゴリズムの研究を行った.このアルゴリズムの計算では,if-then規則や論理の記述を組み合わせた0-1変数を含むシステム表現で信号機を有する交通システムを表現し,その最適化を行えるようにした.ここでは,交通システム全体の燃費が最適となるような,各制御エリアの目標軌道を求めることを目的として,1車線のみの信号機の最適化と,車両の走行制御を構成した.アイデアとしては,車両を車群として扱うことで,計算負荷を少なくした上で,交差点付近の最適な運転挙動と,信号機の最適現示を求められるようにした.また,発車・停車挙動のデータの収集として株式会社ZMPと実験の検討を行い,交差点付近での発車と停車の挙動データを測定した.さらに,ドライビングシミュレーターを用いたデータ収集の方法とそのデータの妥当性について検討を行った.
課題①「論理混合型コントローラによる各交差点での目標軌道の生成」については,まず目標軌道の生成のために,論理を含んだコントローラの構成を試みる.論理混合型ハイブリッドシステム表現で,信号機を含む交差点エリアの挙動を現し,混合整数計画法で自動車の最適軌道を生成することができた.課題②「目標軌道追従制御の構成」は,車間追従制御の手法を用いて各車両を制御する手法を検討した.車車間通信と路車間通信を利用すると仮定して制御系を設計可能となっている.また,課題①と課題②の統合について検討し,有効性を確認するための交通流シミュレータの準備も行った.交通流シミュレータに用いる,現実の信号機パターンと道路の情報を収集し,現実の道路環境に近い環境を作成できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で予定していた事項について実施・検討が進められたため,概ね順調に進展していると評価できる.だだし,実験データの収集の方法について決定するのに時間を要したため,そのデータの解析に時間を取ることができなかったため,次年度にデータ解析を業者に依頼する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
課題①「論理混合型コントローラによる各交差点での目標軌道の生成」に関して,前年度で記述できない問題について検討し論理混合型コントローラの拡張を行う.また,国際学会に参加したり研究室を訪問して,国内外の研究者と情報を交換して研究を進める.課題①と課題②「目標軌道追従制御の構成」の統合を行い,交通流シミュレータを用いて制御手法の効果を確認する.制御エリアの範囲や対象とする交差点の数を変化させてシミュレーションを行い,制御エリアの範囲をどのくらいにすれば効果的かを明らかにする.また,計算時間が問題になると考えられるので,交差点の数,車両の数を変えて計算時間に関する考察を行う.計算時間を短縮するために,モデルの単純化や,制御時間を短くするなどの対策が必要であれば検討する. 統合した制御手法をドライビングシミュレータに実装し,ドライバが乗った場合にどのように感じるか試験する予定である.違和感や恐怖感といったドライバの体感に関するアンケート型の調査を行う.この結果に応じて必要であればドライバが違和感を感じないようにするために,課題①と②のコントローラの再設計を行う.また,制御エリアに入る場合と,制御エリアから出る場合にどのようにドライバに提示し移行するかという点についても検討する.こちらに関しても,ドライバが違和感を感じないような,情報提示・自動運転への移行・解除の手法を研究する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ取得実験の調整に時間を要し,実施が年度末に近かったため.
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品を購入する予定である.
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