研究課題/領域番号 |
15K18094
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
関口 和真 東京都市大学, 工学部, 講師 (80593558)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | multi agent control / unmanned aerial vehicle / UAV voxel |
研究実績の概要 |
個々のUAVのロバストな運動制御,編隊を組むUAVのフォーメーション制御について以下の成果を得た. 1.相互干渉に対してロバストなUAVの運動制御 UAVの相互干渉の問題として2台のUAVが異なる高度ですれ違うシチュエーションでは,上を飛行するUAVの推力や下のUAVによって生じる下降気流の影響でそれぞれのUAVの飛行が不安定になるなどの問題が生じる.このような相互干渉はお互いの位置や速度などの運行状況を共有しあうことで事前に予測可能な外乱としてモデル化することができることを提案し,特に影響が大きい下方を飛行するUAVに着目し,運行情報から外乱マップとして相互干渉をマップ化することに成功した.得られた外乱マップから相互干渉をキャンセルする入力を印加することで影響を抑制し,より安定的な飛行を実現した. 2.UAVのダイナミクスや大きさを考慮した3次元空間での位置・姿勢フォーメーション制御 位置・姿勢フォーメーションを実現するためには分散的なフォーメーション制御手法がスケーラビリティや耐故障性などから求められるが,既存手法のほとんどは2次元平面上でのものであったり,エージェントの大きさやエージェント同士の衝突を考慮していない.平成28年度の研究によって3次元空間内でのエージェント同士の衝突を自律的に回避しつつ,フォーメーションを実現する制御手法を提案し,数値シミュレーションや実機実験によって,その有効性を確認した.さらにモデル動特性に基づく予測や外乱情報の推定・共有,通信遅れの補償を組み合わせた制御系を構築することで,通信遅れや横風外乱にロバストなフォーメーション制御を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部計画した内容と実施内容が異なる点があるが,相互干渉に対してロバストな運動制御については概ね計画通りの成果を得ており,3次元空間での位置・姿勢フォーメーション制御においては次年度計画していた実機を用いた検証まで先んじておこない成果を挙げている.さらに当初計画には組み入れていなかった通信遅れの補償やフォーメーションでの外乱情報の共有によるロバストなフォーメーション制御手法を構築し,数値シミュレーションや実機を用いた実験によって検証している.これらを総合して概ね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までの実験機を用いた検証実験の結果を元に,それぞれの項目において実験における性能向上を目指していく. 1.相互干渉に対してロバストなUAVの運動制御 引き続きUAV自身による自己の状態や近傍のUAVとの相対位置・姿勢,外乱情報の推定の精度を上げていくようアルゴリズムやハードウェアの改良を進めていく.さらに屋外での実験も見据え予測できない外乱に対しても対応できるよう,ハイゲインフィードバックを用いた外乱抑制手法として知られるスライディングモード制御や,数式モデルと実機とのモデル誤差を数式モデルから得られる仮想的な出力と実機から得られる出力を用いて補償するモデル誤差補償器といった手法などと組み合わせることで,さらなるロバスト性の向上を図る.また,個々のUAVのさらなる運動性能向上のため,位置・姿勢のカップリングといった非線形な動特性を陽に考慮した,新しい制御手法の開発にも取り組む. 2.UAVのダイナミクスや大きさを考慮した3次元空間での位置・姿勢フォーメーション制御 前年度まで実施した数台の実験機を用いた3次元空間での位置・姿勢フォーメーション制御実験を様々なシチュエーションでおこない,提案手法の再現性や安定性を実験的に検証し,高めていく.また現在の設備では実験での検証が難しい,多数のUAVに対する数値シミュレーションをRobot Operating Systemと呼ばれるロボットアプリケーション開発用パッケージを利用して構築し,提案するフォーメーション制御を実装することで,UAVをボクセルとして3次元空間上に配置することで画像を描画することの実現可能性を検証する.
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