研究課題/領域番号 |
15K18097
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
浅田 拓海 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50634680)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 舗装 / ひび割れ / 画像解析 / 目視点検 / 道路 / 低コスト |
研究実績の概要 |
本研究の目的である「舗装ひび割れの低コスト・簡易型マシンビジョンシステム」を構築するため,本年度では,①路面測定ユニットの構築,②ひび割れ解析ツールの構築,について検討した. ①については,走行する車両内から前方路面を精度よく撮影するために,路面撮影に適したカメラおよび内部設定,設置方法等について検討した.また,GPSロガーやタブレットとの連携によるの自動シャッター方式について検討した.さらに,夜間撮影も可能なカメラ,設定について検討し,昼間・夜間に問わず路上調査を実施できる測定方法について検討を試みた. ②においては,アプリケーション開発環境Visual Studioを用いて,路面画像の解析ソフトウェアを構築した.具体的には,路面の正射画像を作成するためマウス操作ツール,ひび割れを動的2値化処理で自動抽出する解析プログラム,その結果を目視で修正するマウス操作ツールなどを構築した.これにより,迅速かつ容易に,長距離区間のひび割れ率を求めることが可能となる.さらに,ひび割れと同時に撮影されるポットホールやパッチングの診断方法についても並行して検討している.なお,当年度では,本ソフトをベースとした道路景観画像の解析システムも構築し,その有効性と汎用性について確認している. また,上記の画像解析手法の精度検証および目視評価等を合わせた複合的な診断システムの構築に向けて,歩きながらの目視点検(歩行点検),走行車両からの目視点検(走行点検)の2方法を提案し,それらの精度について検討した.その結果,歩行点検の正解率は約80%,走行点検は約60%であり,点検回数を重ねると経験により正解率が向上することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の目標「本システムの妥当性・有効性の確認」に向けて,当年度の上記2点の実績から,本研究は,おおむね順調に進展していると言える. ①路面測定ユニットの構築については,昼間の撮影に関しては,カメラの設置位置や画像の構図を工夫することで,ひび割れをより明瞭に捉えることが可能となった.ただし,GPSロガーやタブレットとの連携については,ほぼ完成しているが,実調査でのテストはしていない. ②ひび割れ解析ツールの構築では,解析アプリケーションを作成し,それを過去に用いた画像データに適用し,問題なく解析が行えることを確認した.ただし,画像解析の精度向上に余地があるため,さらなる検討が必要である.また,画像を調整するパラメータを少くしてシンプルな仕組みにする必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,上記の残された課題を早急に解決し,調査対象路線を設定して,本システムの精度検証,妥当性,有効性について検討する.課題については,GPSロガーやタブレットの連携によるシステムのテストを急ぐ,画像解析の精度向上を同時進行で行うなどが挙げられる.また,ポットホールやパッチングも含めたひび割れ評価方法,目視による走行点検などについても検討し,これらも組み込んだ低コスト・簡易な路面状況診断システムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
装置類が予定した金額よりも安価に購入できたため,残額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
上記の残額は少額なため,次年度,必要な文具等の消耗品にあてる.
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