今後の研究の推進方策 |
PC(プレストレストコンクリート)のASR膨張に伴う耐力,耐久性の変化について評価する項目は,拘束によるひび割れの方向性,び割れ量やひび割れ幅の増大に伴う水分供給(表面ひび割れを沿って)の変化と,それによるASR膨張の促進具合,およびASRが生じたコンクリートの水の拡散係数である。そのためにPC供試体を持ちいて確認する事項は,応力状態の変化,水分供給の変化,ひび割れ幅の変化,膨張量経時変化(軸方向および軸直角方向),曲げ耐力である。 実験内容は以下の通りとする。供試体寸法は,210*110*750mm。無筋,PC供試体を作製。水分供給は下面湿潤上面乾燥,上下面湿潤の2パターンとする。内部のひずみをみる為に埋め込みゲージ,また湿度計でコンクリート内部湿度を測定。軸方向および軸直角方向の表面膨張量はコンタクトゲージにて計測。膨張量が0 ,500,1000,1500,2000,3000μの時に供試体を切断し,内部ひび割れ発生状況を確認。プレストレス力の変化はPC棒鋼のひずみ量にて管理。ケミカルプレストレスやクリープ変形などによるプレストレス量変化はブランク供試体を用いて評価(ASR膨張させない試験体)。ブランク供試体は,各温度湿度環境にて必要。埋込ゲージにて内部ひずみ変化を観測し,PCの全断面有効がASR膨張後に如何に変化するかを確認。予備試験では2年目の終わり頃には膨張量3000μ程度まで進む予定であり,実験Cについては予定通り完了できる見込みである。 追加実験であるクリープ試験では,連続的に弾性範囲で圧縮応力が作用した状態でクリープが終息した後にASRが発生した場合の,コンクリートの挙動(内部応力変化,クリープ,膨張挙動,変形性状)を明らかにする。予想として,通常クリープが平衡した後でさえも,ASR膨張が進むと再度クリープ変形が生じ,同時にASRによる変形も生じると思われる。
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